2016年5月~8月までのデング熱流行件数1229件(アメリカ疾病予防管理センターより)
デング熱(dengue fever, breakbone fever)まれにデンゲ熱は、フラビウイルス科のデングウイルスによる感染症で熱帯病のひとつ。 日本では感染症法の4類に分類されている。
ネッタイシマカやヒトスジシマカによって感染するが、ヒトスジシマカはヤブ蚊とも呼ばれ、日本にも多く生息する。不顕性感染を含めて感染した人を蚊が刺すと、1週間ほどでウイルス量が増え、その蚊に人が刺されると感染する可能性がある。人から人へ直接感染することはない。
デング熱を起こすウイルスには4種類あると言われ、同じ型のウイルスに再び感染しても免疫によって軽症ですむが、異なる型に感染すると免疫が過剰に働き重症化することがある。重症化したものはデング熱出血熱またはデングショック症候群と呼ばれ、稀に死亡することもある。
感染後の発症率が数10%、そのうち重症化する患者が数%ほど、さらに重症化した患者の中で死に至る人が数%。インフルエンザと比べると致死率がかなり低い病気である。
2014年8月には(東京の)代々木公園で、国内では69年ぶりとなるデング熱の感染が確認され、同10月末までに感染者は全国で160人に上った。
2~14日(通常3~7日)の潜伏期間の後、およそ2-4割の人に38~40℃の発熱で発症し、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹が現れる。 肺炎などの呼吸器症状が顕著に現れる感染症ではなく、通常、死に至る危険は少ない。関節などの痛みは激しく、英語ではBreak bone feverとも呼ばれている。通常、3~5日で解熱し、解熱とともに発疹が現れる。この発疹は回復に向かうとき出現する。 子供の場合、風邪や胃腸炎(嘔吐や下痢)とよく似た症状がたびたび現れ、症状は一般的に大人よりも軽いが、その一方で重度の合併症に陥りやすい。 デング熱に対する特別な治療法はなく、対症療法が行われる。
現在、予防ワクチンや治療薬の開発が進められているが、確立された治療法はない。 2015年には世界で初めてデング熱予防ワクチンがメキシコで認可された 蚊が多い地域では虫除け剤の使用。さらに流行地域では肌の露出に注意。 自覚症状が現れない人も多いため、流行地域から帰国したときには蚊に刺されないように注意。 インフルエンザと同様に流行地域と流行時期があるため、旅行先でのデング熱の情報も見ておく必要がある。
デング熱は日本国内にない病気であるため、病院での検査ができない。医療機関が、地域の保健所と相談の上、地方衛生研究所(地研)ないしは国立感染症研究所(感染研)に検査を依頼する(デング熱診療ガイドライン[第1版])。 帰国時にデング熱が疑われ、検疫所で検査の必要があると判断された場合には、検査を受けることができる(検疫法第13条)。 デング熱は感染症法で4類感染症全数届出疾患に分類されるため、診断した医師により直ちに最寄りの保健所に届けられる。
アフリカ地域、アメリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域、西太平洋地域の熱帯・亜熱帯地域でみられる。日本でも輸入症例だけでなく国内発生例も報告されたので、国内でも注意が必要。
デングウイルスが感染しておこる急性の熱性感染症で、発熱、頭痛、筋肉 痛や皮膚の発疹などが主な症状です。
ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、 その蚊が他者を吸血することでウイルスが感染します(蚊媒介性)。ヒトか らヒトに直接感染するような病気ではありません。また、感染しても発症し ないことも多くみられます。
熱帯や亜熱帯の全域で流行しており、東南アジア、南アジア、中南米で患 者の報告が多く、その他、アフリカ、オーストラリア、南太平洋の島でも発 生があります。最も日本に近い流行地は台湾です。
海外の流行地で感染し帰国した症例が近年では毎年200名前後報告されています。日本国内で感染した症例は、過去60年以上報告されていませんでしたが、2013年には、ドイツ人渡航者が日本で感染したと疑われる症例が報告されました。 また、2014年8月以降、東京都立代々木公園に関連する患者の発生が報告されています。
主たる媒介蚊はネッタイシマカ(日本には常在していません)です。ただし、日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられるヒトスジシマカも媒介できます。
デングウイルスに対する特有の薬はありませんので、対症療法となります。
デング熱は、体内からウイルスが消失すると症状が消失する、予後は比較的良好な感染症です。しかし、希に患者の一部に出血症状を発症することがあり、その場合は適切な治療がなされないと、致死性の病気になります。
海外の流行地にでかける際は、蚊に刺されないように注意しましょう。長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また蚊の忌避剤なども現地では利用されています。
デング熱に有効なワクチンはありません。
すべての蚊がデングウイルスを保有している訳ではないので、蚊にさされ たことだけで過分に心配する必要はありません。 ご心配な場合は、帰国された際に、空港等の検疫所でご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等にご相談ください。 なお、発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診ください。
日本にはデング熱の主たる媒介蚊のネッタイシマカは常在していませんが、媒介能力があるヒトスジシマカは日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)に生息しています。このことから、仮に流行地でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者を吸血した場合に、感染する可能性は低いながらもあり得ます。ただし、仮にそのようなことが起きたとしても、その蚊は冬を越えて生息できず、また卵を介してウイルスが次世代の蚊に伝わることも報告されたことがないため、限定された場所での一過性の感染と考えられます。 なお、ヒトスジシマカは、日中、屋外での活動性が高く、活動範囲は50~100メートル程度です。国内の活動時期は概ね5月中旬~10月下旬頃までです。
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